昨年の話しで恐縮なのですが、タイ人のPopさん( @Study_THJP )に外国語マスターのコツをZoomで伝授していただきました。
当日はチュラ大 タイ語インテンシブコースの学習経験もある @tom_akiko さんも参加いただいて、Popさんの外国語マスター方法を3時間にわたり語って下さいました。
Pop さんの外国語学習法はプラクティカルで気づきの多い内容でした。外国語学習者の皆さんとシェアしたくてブログに残しておきます。
純タイ人Popさんとは
Popさんは留学経験なしで難易度が高い日本語能力試験 最難関のN1に合格。日本留学を経て、現在はITコンサルや翻訳業、通訳、タイ語講師と幅広く活動されています。
見た目も日本人っぽいのですが、日本語を書いても話してもおそらく彼が日本語を第二外国語として習得したと気づく人はほぼいないレベル。逆に手加減してくれる人もいないと思うので、気の毒なほどw
また、彼はタイ人の日本語学習者と日本人のタイ語学習者のための「日タイ交流会」 @Study_THJP と「タイ語学習チャンネル」を趣味で運営されています。タイ語学習者の方はぜひフォローしてくださいね。
Popさんが日本語学習を始めた背景
家業はゲーム屋さん、お隣さんは漫画レンタル屋さんとある意味エリート養成環境で育ったPopさん。ある日友人を遊びに誘ったら「今日、オレ日本語の勉強に行くから。良かったら一緒に行く?」と誘われたのが始まりだそう。
日本語はアニメ(タイ語字幕版)などで、耳にしていたものの学習はしていなかったそうです。大学はタイの理系学部に進学し、日本語学習も趣味(!)で継続し在学中にN1を取得…現在に至るそう。
Pop さんの外国語学習法
Popさんの語学学習はとても合理的。
自分が日常生活で必要な表現を外国語に訳して、覚えることで学習が無理なく継続できます。
– 自習時はテキストの順序にこだわらず、知りたい表現のレファレンスとして活用
– ノートに時間をかけすぎない(レジュメなどに書き込む)
– 単語は Google検索で用例を確認、類義語も文章で覚える
– 辞書は外国語の国語辞典(例:日本語学習者なら日本語の国語辞典)を使う
– モチベーション・余裕のある時に自分の言いたいこと・独り言を外国語でアウトプット、一人の時もアウトプットの機会を増やす
– うまくアウトプットできなかった文法・単語を疑問が解消されるまで時間をかけて調べ、一度で完璧に理解できなくても徐々に理解を深めていく
– 日常環境に外国語を取り入れる(例:スマホの設定など)
日本人向けタイ語学習法 Tips
多くの日本人にタイ語を教えてきた経験から、日本人特有の苦手とするポイントも熟知したPopさん。Popさんの外国語学習のアドバイスをシェアしますね。
テキストの活用方法
外国語学習でテキストを真面目に最初から順に読んでいく人、多いと思います。結果、テキストの途中で放置なんてケースも…。
Popさんおすすめの学習モチベーションが持続する、テキスト活用方法を教えてもらいました。
…それは、テキストベースの勉強にこだわらない。
Popさんのコメント:
授業で教わる時はテキストの順番通りでかまいませんが、自習の時は*知りたい表現をピンポイントで確認するのに使うイメージです。
具体的には、
【知りたい/言ってみたい内容を考えてみる >テキスト等で確認>例文作成>活用>覚える】。
※理由は【テキストの内容を理解>例文作成>活用>覚える】プロセスでは、好奇心が湧かずモチベーションが続きにくいためです。
※授業では自分の知りたい表現や単語を毎回1-2つ持っていくことを強くお勧めします。知りたいことはすぐ覚えます。
同時に、
② 正しい発音を確認
※調音音声学観点(最初は聞き取れなくても、自分の口内の動きを意識することは可能になります)
発音の学習方法
ー まずは正しい発音方法を確認
ー 聞き取れない音を意識して発音練習 -> 徐々に読むスピードを上げるを10回ほど繰返し -> 再度聞き取れなかった音を聞いてみる を繰り返す
ー 特に日本語にない母音や子音、声門を閉じる音を意識して練習
ー 文章は音節を意識して読む
Popさんのコメント:
・耳から発音に慣れるのではなく、正しい発音の仕方(原理、口の動き)をまず調べる。最初から気にして発音練習するというより、まずはあるべき口内・舌の動きを理解する為、モチベー ションの高い時に少しずつ意識しておく。
(何回も聞いて耳が慣れるの待つのではなく、口から慣れると耳も慣れてくるので、最初はできなくてもまずは正しい発音の仕方を覚える)・正しい発音の仕方(原理)が理解できたら、聞き取れない文章の発音を意識してゆっくり音読。慣れたら、だんだんスピードをあげ、それ以上速くできないスピードまで繰り返す。聞き取れなかった文章を再度聞いてみると、だいたい80-90%聞き取れるようになる。まだ聞き取れない時は、一音一音の発音を確認・強く意識して最初からやりなおす。(ネイティブの発音に近い発音が自分で自然にできるようになると、人は聞き取れるようになる)
文法の学習
ー 例文を丸暗記するだけでは会話が広がらないので、基本文法をじょじょに応用して自分の言いたい文章を作れるように練習する。
習得した基本文法から、近似文法、関連単語の学習に広げるイメージ。
(タイ語テキストの例文など)暗記だけで文を作ることは汎用性が低く、学習に時間かかる。文法を座学で理解した上で、慣れる学習ステージにシフトするほうが正確に理解でき、汎用性も高い。
(イメージはこんな感じ、
暗記で覚えた文 = 即戦力が高いが、覚えた場面でしか使えない。
文法の理解 = 単語の入れ換えで、どの場面でも使えるようになるが、すぐに出てこないので時間がかかり即戦力が低い)
タイ語の単語
ー 単語は話し言葉か書き言葉か確認
ー ネイティブの用例を Google で検索・確認(ネイティブの表現を確認する)
タイ語の会話
会話は、
1. タイ語が聞き取れる
2. 自分が言いたいことの十分な語彙がある
3. 基本文法を応用して、自分の言いたい文章を母国語から変換できる
4. 正しい発音ができる
ができて会話が成り立つので、日頃から継続して学習する。
同時に重要なのはアウトプット。外国語をアウトプットしてコミュニケーションをとることで、能力を上げていく。
Popさんのコメント:
・聞き取れる前提ですが、冒頭で述べたように自分が正しい発音を意識して発すれば会話は聞き取れるので、どんどんアウトプットしていったほうがヒアリング能力も上がる。
・まずは自分が言いたいことを整理(母国語でも複雑・不明瞭な文法構成なら、当然訳しにくい)する。 感情表現と出来事(事実/内容)の要素をわけて意識する(感情表現までできなくても、事実内容が言えれば9割の内容は伝わるので)。
・内容が整理できたら、知らない単語や文法を調べる。調べる能力が不足している場合は絵を書いたり、別の文で言い換えたり、先ずはコミュニケーションを優先する。(後で調べて覚える)。
・知らない単語が出てきたら、放置しない(その場で聞くか、一旦推測で会話して後で調べる)。
その他
ー 外国語を正しく理解するには文化的背景を知る事が重要!
ー モチベーションの高い時や余裕のある時に自分の言いたいことや独り言を外国語でアウトプットする機会を増やす
ー うまく外国語にできなかった時は放置せず、文法・単語を確認
ー 確認した文法・単語は自分で作文・応用できるまで、徹底的に調べる
ー 一度で完璧に理解できなくても疑問が解消されるまで時間をかけ調べ、理解を深めていく
Active learningの重要性
Popさんが強調していたのは Active learning の重要性。
Active learningとは:
アクティブ・ラーニングは、学修者主体の学習手法の一つであり、学修者が能動的に学修に参加する学習法の総称である。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/アクティブ・ラーニング
具体的には、
ー 日常生活に取り入れ学習時間・継続性を確保
ー 趣味(ドラマ、アニメなど)に結びつけ楽しく学習
ー キリの悪いところで意図的にやめることでモチベーション維持
語学学習以外にもいろいろ応用できそうですね!
感想
理系専攻にかかわらず、大学で日本語を先行した多くの人よりネイティブに近い正しい日本語を話すPopさん。日本語の学習を効率的な学習方法で継続してきた成果には目を見張るものがあります。
忙しい中、熱心に外国語学習方法について語ってくれたPopさんにあらためて感謝です!