留学でタイ語能力は向上するのか? その1

Twitterでフォローさせていただいている @o0_isono さんがタイ名門 チュラロンコン大学の1年間の派遣留学を終え、帰国されました。
語学留学ではなく、政治学部への留学でタイ人エリートに混じっての1年間の学習はかなり厳しいものがあったと想像します。

チュラロンコン大学HP :

101 years of education and knowledge to serve the nation with dignity and integrity

自身は外資系企業勤務時に数多くの留学経験者、あるいは現地駐在員と接する機会がありましたが、正直特に語学に優れた人に出会う機会はありませんでした。よって、海外留学=語学上達 とは考えていません。
そんな中、英語等と違い義務教育の下地すらないタイ語で、1年間のタイ留学で驚異の上達を遂げた @oO_isono さんは一般的な留学生と何が違っていたのか大変興味を持ち、質問をしたところ、大変快く回答してくださいました。

タイ語のみならず、全ての外国語を学習する人間にとって、非常に貴重な内容だと思いましたので、ブログに記させていただきました。

Q. 現在のタイ語力を仮に10とした場合、留学直前、3か月、6か月、12か月時点のタイ語力はどのレベルと思われますか?

A. 留学前→4/3か月→5/6か月→7/12か月→10

留学前後で大きく変わったことは、聞き取る力と言いたいことをタイ語で瞬時に言える力。読解と筆記に大した変化はなかったが、読むスピードは上がったと思う。よほど専門的な内容でなければ辞書なくても読めるレベル。
最初の3か月はそこまで大きな変化はなかった。半年経ってやっと現地のタイ語が大方聞き取れるようなってきた。留学の終盤では授業の内容も8.9割は理解でき、日常会話なら問題なくこなせるようになった。ただし、タイ人10人+日本人ひとりのみたいな場合は微妙でした笑笑。スピーキングの力は留学当初から基本的なレベルはできていたので、留学中は表現力や若者言葉、スラング等を理解し、自分が話せる内容の幅をどんどん増やしていった。逆に言うと、留学中に触れなかった内容(医療の話、建築の話など)は留学前後でスピーキング等の能力は変化ないと思う。

自身の感想 :

最初は成果が実感できなくても、学習を続ける(ダイエットみたい)、
その日はやがてやってくる(と、信じる。)、
外国語学習時間はある積算値を超えるとその後は指数関数的上昇を見せる(?)。

Q. 留学して何か月ごろから上達を実感しましたか?

A. 半年くらい。リアリングについて言うと、最初の数ヶ月は授業の内容があまり理解できず、なんとなく座って聞いていただけだったが、毎回授業に関する単語等を事前に調べるなどして準備万端で臨むよう心がけていたら次第に授業もわかるようになってきた。リーディングに関して。留学前から辞書さえあれば読解に問題はなかったので、授業課題で論文等を読むことでスピードと単語レベルがあがった。ライティングは留学中にワード50枚以上は書いたと思うので経験値は上がったと思う。スピーキングの成長はやはり半年たったくらいから。最初の数ヶ月は聞き取ることすら微妙だったので、簡単なことしか言えなかった、というか言いたいことが口からすぐ出てこなかった。でも、毎日徹底してタイ人と一緒にいることを心がけたので、場数を踏むたびに自然と表現する力が伸びたと思う。半年以降はある程度自信もついたので、臆せず話せるようになり、さらに成長したと思う。

自身の感想:

十分な事前準備が何倍もの成果を生む、
タイ語で話す脳回路を育てる為、アウトプット訓練は重要、
圧倒的な学習量が質を作る、
完璧じゃなくても臆さない、恥ずかしがったら成長は止まる、
徹底してネイティブとコミュニケーションを取り続ける。

Q. タイに留学しないと出来ないタイ語学習、日本でも可能なタイ語学習方法を教えて下さい。

A. (タイならでは)①スラング②実践的なタイ語③自分の発音と声調の間違いに気づける

①スラングは私のTwitterを見ればわかります。辞書には絶対ないです笑。これは現地の若者と交流しないと得られないものです。現地の人間関係が深ければ深いほど、得られるモノは多いです。

②実践的な=実際にこの単語はどう使われるのか、また他の意味はあるのか、と教科書にある典型的なものではカバーしきれない範囲まで学べる。私見ですけど、言語を別の言語に完璧訳すことは不可能だと思ってます。英語の単語帳も1つの単語に多くの日本語訳が当てられる多義語なるものがありますが、実際に多義語なんて概念は母語話者にはないわけです。この1つの単語が含む広い概念を現地の人と実際に話すことで、掴むことができます。

(日本でも可能)文法、単語、文字、発音と声調の”法則”。

ここでは日本でタイ人による直接的な指導を受けられないと仮定しておきます。そうすると可能なのは上記までではないでしょうか。文法、単語、文字はどこでも教科書さえあれば学べます。ただ最大の問題は発音と声調。こればかりはやはりネイティヴの徹底した矯正がないと厳しいと思います。というのも、私はこれまで独学でタイ語を学び発音と声調を綺麗に話せる人に会ったことないからです。大体の人は自信満々でタイ語を話してます。でも、残念ながら相手のタイ人の顔はポカーンです笑。間違いにすら気づけてない状況では永遠にタイ語は話せないと思います。もちろん才能ある人は通じるレベルのタイ語を話すことは可能だと思います。時々言語の天才はいます。特に外大とか。その他の人にとってタイ語を独学することはかなり難しいと思います。もしタイ人から指導を受けられない場合は、徹底して発音と声調を自分で矯正し、常に間違っているという意識を持ちながら勉強するしかないかと思います。そもそも日本語にない発音と声調の矯正は自分では不可能だと思いますが、、、。まとめると日本で可能なのは、文法、語彙、文字レベルだと思います。

自身の感想 :

現地でないと学べないこともある、
日本では、教科書で文法、単語、文字を学習、
タイでは、スラング、実践タイ語、発音を中心に学習し、ネイティブの友達を作る、
一つの単語から例文、類義語、反意語なども確認し、ネイティブにとっての単語の意味を理解に努める

Q. オススメの学習教材は?

A. 私は市販の教材は使ってません。大学で配られたものだけで勉強しました。しいて言うならTwitterやFacebookで適当に探した記事を自分で訳していた。私のアカウントがフォローしてるニュースアカウント等を見て頂ければわかると思います。

自身の感想:

タイのメディア記事に日常的に触れる
タイラット
NationTV
ThaiPBS
VoiceTV
Pantip.com

Q. タイ留学しても、タイ語能力が伸びない人と伸びる人の違いは何だとおもいますか?

A. これはどこに国に行こうが同じで、いかに心を開いて自ら現地の社会に飛び込めるかが大切。向こうに行って日本人とばかり話してたらそりゃ伸びません笑。旅行ですそれは。実際私もそのような友達を見てきました。SNSで毎回のように日本人と連んでる姿を見て、これは留学なのか??と何度も思わされました。私があえて日本人一人しかいないチュラを選択した理由もこのためです。周りに日本人がいては留学ではないと感じてたから。結果的には多くの友達に恵まれ、それが自然とタイ語の上達に繋がりました。

自身の感想:

自分を追い込め!
現地の社会に飛び込め!

Q. タイ語の発音はどう学習されましたか?

A. タイ語の学習で最初に取り組んだのが発音と声調です。ネイティヴによる徹底指導でした。少しでも間違えると直るまで何度も指摘されました。最初の三カ月くらいはとりあえず発音と声調だけって感じ。文字よりも先に正確な発音記号を覚え、正しく発音できないとしても、自分の音が合っているのかそうでないのか自分で判断できるまで徹底させられました。留学に行くまでの2年間毎回、授業でネイティヴはしつこく指摘してきました笑。おかげで留学行く前から発音と声調には大きな欠点はありませんでした。タイ語は英語と違ってグローバル言語ではありません。イギリス英語、アメリカ英語みたいに日本人タイ語なんて言ってたら永遠に通じません。

自身の感想:

まずは発音と声調の基礎を固める、
発音と声調はネイティブにチェックを受ける。

Q. タイ語が話せることで、タイ生活はどう変わりましたか?

A. 単純に生活が楽しくなりました笑。留学に来る前からある程度は話せましたが、タイ語のレベルが上がったことで、友達の会話にもついていけるし、自分で面白いこともタイ語で言えます。自分が話しの中心になることも可能になりました。そうなると会話が能動的になり、質問されて答える→自分から話しを振る、質問する、に変化しました。臆することなく話しかけれるので、友達もすぐできるし、交流の幅が広がりました。まだ自分のタイ語レベルには満足してませんが、ある程度自由に使いこなせるようになったおかけで、日本と変わらない楽しい生活ができるようになりました。

自身の感想:

積極的にタイ語を話す事で、正の連鎖が生まれる、
タイ語の会話が楽しくなることで、更に上達する。

Q. 語学留学でないにもかかわらず、タイ語が上達したのはなぜですか?

A. むしろ語学留学じゃないから、上達したと思ってます。留学先を選ぶ時、選択肢は複数ありました。チェンマイ大学の文学部?シーナカリンウィロート大学(มศว)の人文学部か社会学部、それとチャラの文学部と政治学部。もちろん語学留学もありでした。この中からチュラの政治を選んだ理由は、単純にタイ政治に興味があったことも挙げられますが、最大の理由は、留学生一人で現地の大学に学部留学できる点でした。チュラ政治以外は、他の日本人たくさんもいるし、現地のチューターなるものも存在していたので、留学が”遊学”になる可能性がありました。”遊学”ってのは、留学という名目で現地に行きつつも、とりあえず授業に出て、終わったら同じ国の人と飯を食べに行き、同じ国のコミュニティで生活することです笑。これだけはしたくないと留学前から決めてました。

そのためにはまず環境を整えないと、と思い政治学部を選択しました。もちろん1枠しかなく、選抜制だったのですがそこは乗り切りました。実際に政治学部に入ると、もちろんタイ人しかいません。友達はゼロからスタート。他の大学には以前からの知り合いや、外大に留学に来たことあるタイ人がいたのでコミュニティの形成はすでに終わってたわけです。が、チュラは全部一からなので、まずは友達作りから始まりました。この環境こそがタイ語上達の最大要因だったと確信してます。語学留学は語学を学ぶ留学です。語学ってのはネイティヴの先生が教科書を教えるだけです。それでは外大でやってきたことと同じです。なんなら、日本のタイ語学校に行くのとまったく変わりません。言語は実際の生活で使えてこそ言葉なんです。実際の生活で使わずして、教科書で覚えたことだけで言葉を操ろうなんて不可能です。その生活を体験するのが留学の醍醐味です。タイ人はタイ語をどう使うのか?どんな時どんな単語、表現を使うのか、これらを実際に理解してこそ、その国の言葉を理解するってことになると思ってます。いかにも外大生っぽい解答でごめんなさい笑。ただ使えればいいなんて、無礼な態度で他の国の言葉を学ぶ人は私は嫌いです。何事もリスペクトするべきです。だから、カタカナやアルファベットでタイ語を学ぼうとする輩が嫌いなんです笑笑。あれは驕りです。どうせこれで通じるなんて考えた結果出てきたアイデアです。不満言ってすいません笑笑。まとめると、学部留学した理由は、現地の人々と実際にコミュニティを新たな形成しながらタイ語を学べるからです。

自身の感想:

留学すれば上達するという考えは幻想、留学前からの地道な基礎学習は必須、
過酷な環境が語学力を鍛える、
日本人コミュニティーから自分を隔離する。

つづきます。