本当は電子書籍が欲しかったのですが、アマゾンではペーパバックのみ、Barnes & NoblesではNOOK対応がありましたが iOS対応のリーダーアプリが日本ではダウンロード出来ず。ググってみると、NOOKから Kindleへのファイルフォーマット変換をすればKindleで読む事も可能みたいだけど、面倒くさいし動く保証もないのでちょっと心配。
結局 ペーパーバック版を日本のAmazonで購入しました。
日本語、タイ語版と比べるとサイズが大きく、2巻分が一巻にまとめられています。お値段も正価 USD24.00 とお高めです。
英語のレビューをみると、翻訳がナチュラルで良いとありましたが、実際私も読んでみてプレーンな翻訳で日本の高校生でも読みやすいかもと思いました。
たまに普段目にしない表現を見たりしますが、日本語版、タイ語版と比べてみると面白いです。
例えば、インターハイ初日の開会式で箱根学院(โรงเรียนฮาโกเนะ, Hakone academy)メンバーが集合するシーンでは、時間にルーズな真波くんが一人遅れて会場に滑り込んでくるのですが、
真波くん:
「ふぅ 間に合った」
“WHEW! MADE IT IN TIME.”
“เฮ้อ ทันเวลาจนได้” → ˈhə́ə ˈthan ˈwee ˈlaa ˈcon ˈdâay
荒北くん:
「間に合ってねーよ」
“LIKE HELL YOU DID.” → LIKE HELL 絶対に〜ない / LIKE HELL YOU DID おまえ絶対にやって(間に合って)ないから、Like hell は意地悪な印象を与える表現らしい。
“ทันกะผีน่ะสิ” → ˈthan ˈkà ˈphǐi ˈnâ ˈsì
箱根学院メンバー:
「遅刻魔 真波」
“MANAMI, THE WIZARD OF TARDINESS…!!”
“ไอ้เจ้ามานามิจอมสายเสมอ…!!” → ˈʔây ˈcâaw manami ˈcɔɔm ˈsǎay sà ˈmə̌ə
遅刻魔の表現は言語によってちょっと印象が異なります。
英語の WIZARD OF TARDINESS は直訳すると 遅刻(TARDINESS)の魔法使い(WIZARD)あまり一般的な表現ではないようですが、コミック特有のちょっと大げさな表現でナイスです。
一方タイ語は 、
ไอ้เจ้า /มานามิ /จอมสายเสมอ
ˈʔây ˈcâaw / manami/ ˈcɔɔm ˈsǎay sà ˈmə̌ə
ヤロウ(主に男) / 真波/ いつも遅刻の → 遅刻ヤロウの真波
ここでは ไอ้เจ้า ˈʔây ˈcâaw を”ヤロウ”と表現しましたが(状況で適切な翻訳表現は異なります)、”ไอ้เจ้า”บ้า おバカ”ちゃん”、”ไอเจ้า”เเก้ม ゲーマー”くん” などちょっと皮肉っぽい表現みたい。ただしお年寄りが小さな子供に ไอ้เจ้า と使うときは愛情表現なんだそう。
英語版をちょっと読んでみた印象では、タイ語は終助詞表現が豊かなので日本語版のセリフのニュアンスがそのまま翻訳されている印象。例えば、巻島先輩の口グセ「…ショ!」はタイ語では”…ป่ะ ˈpà” 「…ゼ!」”…ไงล่ะ ˈŋay ˈlâ” と訳されているのに対し、英語版ではそれら表現に該当する単語はありません。
一方、英語版だとシンプルな表現はダイレクトに翻訳されているので田所先輩のレースシーンなど読んでいてスピード感が感じられます。
ただいずれにしても、関西弁の鳴子くんのセリフなどはタイ語・英語共に標準語表現になってしまうので日本語版と比較するとイマイチ面白くない。
英語版の特徴としては、
擬音語・擬態語はカタカナのまま表記されていて、横に英語が記されています
Traslation notes のページがあり、日本の地名、人名、翻訳の補足説明が記されています。
例えば、”Uphill roads: Sakamichi means “hilly road.”” などなど。
他言語版を読んでみて思うのは、やっぱり日本語表現って豊かだなあということでした。翻訳する人は本当大変だと思います。